分水嶺、へそ

ヘアドネーションするために伸ばしている髪の毛先が、最近おへそをこえました。

するととたんに生活の不自由度が激増しました。

むかしテレビで髪の長い芸人さんが、和式トイレで用をたすと髪が長すぎて水についちゃうんだと言っているのを聞いたことがありますが、あれは本当です。うっかりしていると普通に毛先が濡れます。

洋式トイレも油断なりません。腰かけた状態で、髪の毛の引っ掛かったペーパーがおしりに届きます。いつか髪の毛ごと拭くのではと思います。

ファスナーに毛先を挟み込んでしまうので、かがんだ姿勢でズボンを穿くのも難儀します。

トイレはトラップだらけです。気を抜けません。

お料理も苦労します。

髪をおろしていると毛先が普通にコンロの火に届きます。焦げてチリチリになります。

まな板にも乗ります。たまにキャベツと一緒に刻みます。

お茶碗を洗う時に一緒に洗ってしまいます。ヤシの実洗髪です。

髪を結ばずに家事をするとだいたい惨事が起こります。

また、すべての乗り物のドアとすべての蓋のある容器・ファスナー・ボタンに毛髪を挟み込みます。

手が届く範囲＝髪が届く範囲なので、あらゆる手作業が滞ります。

イライラして集中度が著しく低下し、作業効率と作業精度がギュン降下します。

髪をおろした状態での生活がこんなにつらくなるとは思いませんでした。

これまではちょっと面倒くさいな～程度だった髪の毛が、急にめちゃくちゃ邪魔で不愉快なものに変わりました。

長すぎる髪は呪いです。見た目が貞子なだけじゃなく実際的に呪いです。不幸を招きます。

おへそが自由と不自由を分かつ分水嶺でした。

わたしはいま、尾根の向こう側にいます。

長い髪クエストのネクストステージがはじまりました。

いつか長く伸びたツインテールの毛先を結んで 縄跳びとかしたいです。

こんなかんじでね！